今回は360°カメラの最大手であるInsta360と、360°カメラの開拓者であるRICOHの比較です。
おそらくこの記事に到達する前に、皆さんは「360度カメラおすすめ」のような大手サイトを参考にしたと思います。
そこではInsta360もRICOHと同じく扱われていたりしますので、形状の似たこれらをより詳しく比較したくなったものと思われます。
ですので今回は、Insta360のXシリーズとRICOHのTHETAシリーズを、ちょっと詳しめに、そして感覚的に分かりやすく比較していこうかと思います!
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360度カメラの選び方
まず、半天球型360°とか全天球型360°とかの話もありますが、今の主流はどう考えても全天球型。
半天球型360°は10年程前の印象ですので、当然ながらこれは割愛。
その全天球型も各ブランドから出そろい始めて、Insta360もRICOHも画質は向上させてきています。
そしてスマホアプリとの連携も当たり前ですので、重要なのは画質に加えてアプリ操作がどれだけ簡単か、という事になるでしょう。
動画撮影をしたいか
今の主流は「360動画撮影」です。
各社のスマホアプリ性能が改善しまくったおかげで、360°動画編集が非常に簡単かつシンプルになりました。
ゆえに今の主流は動画撮影から編集まで行えることが前提となっていますが、360°カメラの中には写真をメインに作られたカメラも存在します。
おおよそ2017年とかその辺りに出てきた360°カメラに関しては、動画ではなく写真メインに作られていることが多いので、発売からの年数に関しても注目です。
アプリ操作の簡単さ
現在の360°カメラの需要と普及は、アプリが簡単になったというのが非常に大きな理由を占めると思います。
360動画編集が難しいという認識はだんだんと無くなり、誰でもスマホ一つで簡単操作が可能になりました。
ですので今、360°カメラを購入するのなら、どれだけアプリ操作が直感的でカンタンか、というのをチェックしておきたいところです。
タップ一つで追跡する機能や、選択するだけで作れる動画編集機能、さらには色味やコントラストの調整など、自社アプリでほとんどの編集が完結できる点にも注目。
多彩な表現
多彩な表現力は、アプリの編集機能にもよりますし、マウントの豊富さにもよります。
ですがアクセサリーについては1/4インチネジで共通なので、後から社外のマウントとかも適合するので安心してください(一部専用を除く)。
なお、360度カメラアクセサリーが最も豊富なのはInsta360で、次点でGoProです。
RICOH
360度カメラはTHETAシリーズを販売していて、存在は知っているけどそこまで知名度は無い。
そんな印象を持たれている方は多いかもしれません。
ですが、実はTHETAが世界初のコンシューマー向け360度カメラという実績があり、後述するInsta360の創立よりも早い2013年に販売されているのです。
RICOHというブランド自体もかなりの歴史を持っており、日本で初めて量産型カメラを普及させたブランドだったり。
そんな話をしてみますね。
世界初の一般向け360°カメラ
全天球イメージを撮影可能な世界初*の画像インプットデバイス RICOH THETA発売
RICOH
RICOH THETAの発売は2013年10月。
数万円、持ち運べるサイズ感という条件で、一般ユーザーに普及しやすい360度カメラは実はRICOHが初めて。
360度カメラの元祖は、実はRICOHだったのですよね。
ただしこの頃は写真がメインであり、動画性能はさほど高くは無く、動画編集へのハードルは高かったでしょう。
一般ユーザーの手に渡る条件はあったものの、世のニーズとしてはまだ追いついていなかったというのが正直な反応か。
動画撮影を前提としたTHETA Xを2022年にリリースするも、その頃にはInsta360が市場を独占していました。
せっかく360度カメラを作りましたが、動画への対応が遅れたのか、ニーズの変化が見えなかったのか、なんとも惜しくもどかしいですね。
本気の「写真機」メーカー
そもそもRICOHの本筋は「写真」にあります。
これは1936年創業時の事業内容が「感光紙(いわゆる昔の写真)」だったことから、カメラ産業としての歴史は80年以上に及ぶのですよね。
日本で初めてカメラの量産体制を作ったのもRICOHで、写真やカメラ関係はいつも早く、業界をリードしています。
そう考えるとTHETAシリーズも、動画や使いやすさといった総合力よりも、大きいセンサーサイズやISO感度といった、写真機としてこだわった作りをしているようにも感じますね。
余談ですが、日本初の一眼レフを作ったペンタックスを買収したのもRICOHですので、なんとなく「初」とか「写真機」としてのこだわりは強く持っていそうです。
世界規模で事業
リコーはInsta360と比べると圧倒的に大きな会社ですので、展開する事業は「プリンター」だとか「ソフトウェア」だとかのBtoBのビジネス展開も行います。
キャノン程では無いのですが、株価もキャノンの1/3程はありますし、日経平均株の中に入る日本の重要企業の一つですね。
THETAシリーズの展開についても、公式HPにはちょろっと記載してあるだけで、RICOHの歴史の中ではほんの一握りの事業といった印象です。
そう考えると、世界初のコンシューマー向け360度カメラとして頑張って欲しい気持ちもありつつも、他に事業展開しているからええやん?っていう気持ちの両方沸きそう。
Insta360
Insta360は今では360度カメラの最大手という印象がありますが、歴史は思いのほか浅い2014年の創立。
ここ数年で一気に人気が出て、今や1年の売り上げでGoProを超えるほどになってしまいました。
そんなInsta360は中国深センの企業で、さすがアジアのシリコンバレーと言われる深センで、クオリティの高い製品を次々にリリースしています。
ユーザーからは「Insta360最近どうした!?」と言われるほどには、調子が良いようです。
360°カメラのトップシェア
2014年に創立したInsta360は、最初iPhoneに接続して使う360度カメラを開発。
実はそこから、ボツ製品を幾つか試作して、後にXシリーズの元となるONE Xでヒットしました。
どうやら市場のニーズ的には、アクションカメラ風の360度カメラだったようで、そこからXシリーズを現在のX4まで完成度を上げてきている感じですね。
とりわけ360度カメラ市場のほとんどがInsta360になっています。
積極的な開発姿勢
では、Insta360はどんな企業かと言うと、一言でいえば「製品開発が積極的」な企業でしょう。
カメラで言えば、世界的に高級カメラで知られるLEICAとタッグを組んだり、暗所性能にこだわってみたりと、今まで小型カメラ業界が行ってこなかったことにチャレンジしています。
アクションカメラにおいてもただの後追いという訳では無く、マウントシステムやフリップスクリーンなどの使いやすさも重視した設計は、「こんなのがあったら便利だよね?」っていうシステムを搭載しています。
ユーザーも気が付かないようなニーズを先読みしてくるので、業界が段々とInsta360の製品を意識するようになりました。
つまり真似される側になっている感じですね。
カメラ以外も「手が込んでいる」
手が込んでいるのはカメラだけでなく、アプリ開発やマウント開発にもありそうです。
360度カメラのハードルを著しく下げたのがIsnta360で、人物追跡や動画の自動編集機能は、ユーザーがワンタップで完結するような、360度動画編集における革命的な変化と言えるでしょう。
開発速度もハンパ無いので、どんどん機能は便利で簡単になっていますね。
という感じに、まだまだ語れないくらいにはInsta360の開発は優れているのですが、いくつか理由があります。
1つ目に、トップが開発者という特徴があり、カメラ開発やアプリのテコ入れには積極的にかかわっているそうです。
2つ目が開発者の割合で、例えばGoProと比較すると開発にかけるコストは比じゃないらしいです。
GoProのようにスポーツにおけるブランディングにコストをかける企業もありますが、Insta360は製品やソフト開発にコストをかけ、その分クオリティの高いものを作っているようです。
とまあ、長くなりそうなのでもっと気になる方は是非こちらを見てください(笑)
では長くなりましたが、XシリーズとTHETAの比較に移りましょうか!
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X4 THETA Z1 比較
Insta360 X4 | RICOH THETA Z1 | |
---|---|---|
発売日 | 2024年4月6日 | 2019年5月24日(51GBは2021年) |
スクリーン | あり | なし |
絞り | F1.9 | F2.1, 3.5, 5.6 |
センサーサイズ | 1/2インチ | 1.0型(1インチ) |
写真解像度 | 7200万画素 | 2300万画素 |
動画解像度 | 8K@30fps 5.7K@60fps | 4K@30fps |
シングルレンズモード | 4K@60fps | ー |
カラープロファイル | 鮮やか、標準、LOG | ー |
重量 | 203g | 212g |
ISO感度 | 100-3200 | ISO80~6400 |
バッテリー容量 | 2290mAh(135分(5.7K撮影)) | 約40分(4K撮影) |
メモリ | microSD | 内蔵メモリー 約51GB |
動作温度 | -20℃ 〜 40℃ | 0℃~40℃ |
防水性 | 10m | ー |
価格 | 79,800円 | 132,800円 |
Insta360とRICOHのフラッグシップで比較してみましたが、これはTHETA Z1は難しいですね。
公式ではZ1の発売日は2021年となっていますが、内蔵メモリが増加したのみで、本体自体は2019年と結構古いです。
Insta360 ONE X2よりも古く性能としても結構前のもの。
価格を含めるほとんどの項目で、X4に分がありそうですね。
一応センサーサイズのみは勝っていますので、もしかしたら夜間の写真撮影に関しては、THETA Z1が勝るかもしれませんが、Insta360にはONE RS 1inchモデルがあるので、Xシリーズと比較するのは相応しく無さそう。
THETAはモニターの無い写真機としての使い方ですが、にしても解像度も低いです。
動作温度やバッテリー容量的にも、X4と比較するとかなり劣ってしまうというのが正直なところ。
X3 THETA X 比較
Insta360 X3 | RICOH THETA X | |
---|---|---|
発売日 | 2022年9月8日 | 2022年5月19日 |
スクリーン | あり | あり |
絞り | F1.9 | F2.4 |
センサーサイズ | 1/2インチセンサー | 1/2型(インチセンサー) |
写真解像度 | 7200万画素 (11968×5984) | 6000万画素(11008×5504) |
動画解像度 | 5.7K@30fps 4K@60fps | 5.7K@30fps 4K@60fps |
シングルレンズモード | 4K@30fps | ー |
カラープロファイル | 鮮やか、標準、LOG | ー |
重量 | 180g | 170g |
ISO感度 | 100-3200 | ISO50~3200 |
バッテリー容量 | 1800mAh | 1350mAh |
メモリ | microSD | 内蔵メモリー 約46GB+microSDXC |
動作温度 | -20℃ 〜 40℃ | 0℃~40℃ |
防水性 | 10m | ー |
価格 | 68,000円 | 109,800円 |
THETA Xは一番新しい機種で価格も高いですが、Insta360ではX3と比較してみました。
THETA Xはおそらく360度動画人気が高まったために、ニーズをくみ取って作られたと思われる、一応実用的な360度動画撮影モデルですね。
THETA XもInsta360 Xシリーズと同じく5.7K撮影に合わせてきており、モニターも追加されています。
しかしX3はモニターが大型化、シングルレンズモードやカラープロファイルなど、便利仕様や設定を多く搭載。
そのうえバッテリー容量・動作温度・防水性能と、アクションカメラにおける非常に重要な項目で高い数値を示しています。
RICOHの360度カメラは国産ゆえのファンがいるのですが、性能的にはどう頑張ってもInsta360のカメラと差別化させてあげられません。
動画ニーズに合わせて作られたTHETA Xですが、アクションカメラを作る技術は持ち合わせていなかったのかもしれませんね。
X3 THETA SC2 比較
Insta360 X3 | RICOH THETA SC2 | |
---|---|---|
発売日 | 2022年9月8日 | 2019年12月13日 |
スクリーン | あり | なし |
絞り | F1.9 | F2.0 |
センサーサイズ | 1/2インチセンサー | 1/2.3型(インチセンサー) |
写真解像度 | 7200万画素 (11968×5984) | 1440万画素(5376×2688) |
動画解像度 | 5.7K@30fps 4K@60fps | 4K@30fps |
シングルレンズモード | 4K@30fps | ー |
カラープロファイル | 鮮やか、標準、LOG | ー |
重量 | 180g | 104g |
ISO感度 | 100-3200 | ISO64~6400 |
バッテリー容量 | 1800mAh | 60分 |
メモリ | microSD | 内蔵メモリー 約14GB |
動作温度 | -20℃ 〜 40℃ | 0℃~40℃ |
防水性 | 10m | ー |
価格 | 68,000円 | 42,800円 |
唯一需要がありそうと言っては可哀そうですが、Insta360と比較して性能は劣るものの、一応差別化出来ていそうなのがTHETA SC2というエントリーモデルの360度カメラ。
センサーサイズは小さな1/2.3インチセンサーを搭載し、軽い104gでメモリも小さいです。
ホワイトやベージュといった女子ウケしそうな見た目で、性能は抑えた小さなボディから察するに、Insta360でいう所のGO 3の360度カメラ版のようなイメージでしょうか。
アニメ化される4コマ漫画に出てくるらしきカメラとあって、個人的に話題。
写真解像度や動画性能などは劣るのですが、その分価格は安く、X2が実質品切れ状態を考えると、現在購入できる大手の360度カメラで最安水準という立場ではありますね。
防水性能や対応温度のスペックは低いですが、ユーザー的にも過酷な環境で使用する可能性は低いため、そこは問題じゃなさそうというのもいいかも。
アプリ
カメラの比較が終わりましたので、続いてはアプリの比較をしていきますね。
アプリはカメラを購入した後、ちゃんと使えるか使えないかを決める重要な項目ですので、カメラのスペックと同様にちゃんと調べておくことが重要です。
近年は360度動画編集も楽になってきましたので、ハードルは下がりましたね。
RICOHアプリ(THETA+)
RICOHのカメラは、THETAアプリとTHETA+アプリの二つをダウンロードし、主にTHETA+アプリを使います。
360度写真っぽいアースボール風に仕上げたり、平面の写真に切り出したりなど、基本的な操作はもちろん可能で、コントラストや露出などの基本的な編集も可能。
直感的な操作が可能そうです。
動画編集の方も360度動画編集に慣れていれば扱う事が出来るでしょうが、人物追跡機能が無いため最初は慣れが必要かもしれません。
使える機能はシンプルで、Insta360アプリに無い要素としては「ワイプ」を動画の中に置けることでしょうか。
公式Youtubeチャンネルからのアプリ解説は、3年前の動画で更新が終わっていますので、アプリ更新はされていないのかもしれません。
その他Youtuberの解説動画も、おおむね3年前の動画がほとんど。
Insta360アプリ
人物追跡AI、動画の自動編集機能、多くの編集モードなど、簡単かつ多彩なバリエーションを含んだアプリが、PCとスマホの両方存在しますので、好きな方を使えばOK。
GoProアプリにも搭載されていない便利機能で、これのおかげで360度動画編集のハードルが一気に低くなったと思います。
基本的にアプリ性能に関しては、Insta360はアクションカメラ界隈で最も使いやすく、最もバリエーションに富んでいると思って頂いて良いでしょう。
それほど公式のアプリに対するテコ入れは活発で、Insta360が自信を持っている要素の一つのようです。
上にほぼ全機能の解説動画を3分にまとめてみましたので、よければご覧ください。
文章でも解説しています。
おすすめは絶対Insta360、RICOHも頑張って!
カメラ性能、360度カメラに対する力の入れ方、アプリ性能、その他使いやすさなど、総合すると9:1以上の割合でInsta360の方をおすすめします。
もちろん日本製で、かわいいデザインがいいなと感じる方はSC2を選ぶ余地はありますが、XやZ1はおすすめ出来ませんね。
今後も360度カメラ市場は伸びると言われていますし、2023年に11億ドルだった市場は、2036年に183億ドルに成長すと言われています。
現在はInsta360と、一応GoProが存在している中、その他にも360度カメラは模造品がチラホラ出始めていますね。
RICOHも2022年までは機種を更新していますので、まだまだ今後も更新する可能性は0では無いと思っています。
業界全体で盛り上がっていくとは思いますので、360度カメラの今後に期待ですね。
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